【国語】平家物語①

今回は、『平家物語』について解説します。

解説が長くなるため、2つの記事に分けてご紹介しています。

前編では、「祇園精舎の鐘の音」「敦盛の最期」を解説していきます。

後編では、「那須与一」と「弓流し」を解説しています。後編はこちら! 

 

平家物語は、琵琶法師によって、琵琶で弾き語りされ、全国に伝えられていきました。

今でいう、紙芝居のように読み聞かせることで、広まっていったのです。

詳しくみていきましょう!

 

1.平家物語とは

さて早速ですが、今回の題材である『平家物語』を見ていきましょう!

まずは、特徴を説明します。テストに頻出なのでしっかり確認しましょう!

 

基本の暗記!
  • 作品名:平家物語(へいけものがたり)
  • 作者: 未詳
  • ジャンル: 軍記物語
  • 時代: 鎌倉時代
  • 特徴: 諸行無常・盛者必衰の考えが表れている

 

先ほど少し触れた、琵琶法師ですが、彼らは作者ではありません。

弾き語りをしていた人たちです。

作者は未詳なので勘違いしないようにしましょう。

あらすじ

平家物語は、平家(平氏)と源氏の戦いのお話です。

平家一族が栄え、そして滅びていくまでを描いています。

武士や合戦の様子が主に描かれています。

その中で、諸行無常盛者必衰の考えが表れています。

登場人物

 

登場人物

・平清盛

平家が権力を持つのに大きく貢献した。

 

・後白河法皇

院政を行った。(新しい天皇の代わりに天皇を辞めた人が政治を行う)

 

・木曽義仲

源氏陣営で活躍。しかし、同じ源氏の源義経に倒される。

 

・源義経

幼少期、牛若丸という名だった。

 

源頼朝

鎌倉幕府を建てた人。義経の兄。

 

源氏、平家問わず、たくさんの登場人物がいます。

では、さっそく話をみていきましょう!

2.祇園精舎の鐘の声

では早速、『平家物語』の始まりを見ていきましょう。

 これは有名な文章ですよ!

弾き語りで読まれていたこともあり、とてもリズムが良いので声に出して読んでみましょう!

歴史的仮名遣い

祇園精舎ぎおんしょうじゃの鐘の声、

諸行無常しょぎょうむじょうの響きあり。

沙羅双樹しゃらそうじゅの花の色、

盛者必衰じょうしゃひっすいの理をあらはす。

 

おごれる人久しからず、

ただ春の夜の夢のごとし。

たけき者つひには滅びぬ、

ひとへに風の前の塵に同じ。

 

現代仮名遣い

祇園精舎ぎおんしょうじゃの鐘の声、

諸行無常しょぎょうむじょうの響きあり。

沙羅双樹しゃらそうじゅの花の色、

盛者必衰じょうしゃひっすいの理をあらわす

 

おごれる人も久しからず、

ただ春の夜の夢のごとし。

たけき者もついには滅びぬ、

ひとえに風の前の塵に同じ。

 

現代語訳

祇園精舎ぎおんしょうじゃの鐘の音には、

諸行無常しょぎょうむじょうの響きがある。

沙羅双樹しゃらそうじゅの花の色は、

盛者必衰じょうしゃひっすいの道理を表している。

 

自分の力が強いことを誇っている人長くは続かず、

まるで春の夜の夢のようだ。

勢いの盛んな人最後には滅びてしまう、

それはまったく、風の前のちりと同じだ。

 


この場面での重要語句

  • 久しからず→長くは続かず
  • ただ~のごとし→まるで~のようだ
  • つひには→最後には

 

Q. 諸行無常って?盛者必衰って?
A. 全てのものは必ず移り変わり、ずっと変わらないものはないという考え方。
例えば、ずっと生きている人はいないし、力を持ち続ける権力者はいないということ。
今回の文章では、それを「春の夜の夢」「風の前のちり」に例えている。
これは平家が栄えたのちに滅んだことも言い表しています。

3.敦盛の最期(前半)

最期とは、人生の終わりという意味です。

敦盛という方の最期を描いた部分を読んでいきましょう!

前半・後半に分けてみていきましょう。

 

まずは前半です!本文に入る前に状況を説明します。

 

状況とあらすじ

熊谷直実平敦盛という2人の登場人物がいます。

これは1184年の一ノ谷の戦い(兵庫県)の後を描いています。

この戦いでは源氏が勝ち、平家の軍は海に船で逃げていきます。

このような状況下でのお話です。

 

では次に、あらすじを確認しましょう。

勝利で勢いづいている源氏軍の熊谷直実は、一ノ谷の戦いで敗れて海に逃げようとする平家の武者を探していました。

海の方にいってみると、豪華な装束を着た武者が一人海に逃げていました。

直実は、「敵に背中を見せて逃げるとは恥ずかしくないのか!」とその武者を引き留めました。

この引き留められた人物が平敦盛です。

 これが前半のシーンです。

では本文を見ていきましょう。

歴史的仮名遣い

 熊谷くまがえ

「あれは、大将軍とこそ

見まゐらせそうらへ。

まさなうも

敵に後ろを

見せさせたまふものかな。

返させ給へ。」と、

扇を上げて招きければ、

招かれてとつて返す。

 

みぎはに打ち上がらむと

するところに、

押し並べて、

むずと組んでどうど落ち、

とつて押さへて、

首をかかんと、

かぶとを押しあふのけて見ければ、

年、十六、七ばかりなるが、

薄化粧して、

かね黒なり。

我が子の小次郎がよはひほどにて、

容顔まことに美麗なりければ、

いづくに刀を立つべしともおぼえず。

 

「そもそもいかなる人にて

ましまし候ふぞ。

名乗らせ給へ、

助けまゐらせん。」

と申せば、

なんぢは、たそ。

と、問ひたまふ。

 

「ものその者で候はねども、

武蔵の国の住人、熊谷次郎直実。」

と、名乗り申す。

 

「さては、なんぢにあうては

名乗るまじいぞ。

なんぢがためには、よい敵ぞ。

名乗らずとも、

首をとつて人に問へ。

見知らうずるぞ。」

とぞ、のたまひける。

現代仮名遣い

 熊谷くまがえ

「あれは、大将軍とこそ

まいらせそうら

まさのう

敵に後ろを

見せさせたもうものかな。

返させ給へ。」と、

扇を上げて招きければ、

招かれてとって返す。

 

みぎわに打ち上がらん

するところに、

押し並べて、

むずと組んでどうど落ち、

とって押さへて、

首をかかんと、

かぶとを押しあおのけて見ければ、

年、十六、七ばかりなるが、

薄化粧して、

かね黒なり。

 

我が子の小次郎がよはいほどにて、

容顔まことに美麗なりければ、

いずくに刀を立つべしともおぼえず。

 

「そもそもいかなる人にて

ましまし候ぞ。

名乗らせ給え、

助けまいらせん。」

と申せば、

なんじは、たそ。」

と、問いたもう。

 

「ものその者で候わねども、

武蔵の国の住人、熊谷次郎直実。」

と、名乗り申す。

 

「さては、なんじにおうて

名乗るまじいぞ。

なんじがためには、よい敵ぞ。

名乗らずとも、

首をとって人に問え。

見知ろうずるぞ。」

とぞ、のたまいける

現代語訳

熊谷、

「そこのあなたは、大将軍と

お見受けします。

みっともなくも、

敵に背中を

お見せになるものか。

引き返しなされ。」と、

直実は扇を上げて招くと、

武者は招かれてサッと引き返す。

 

武者が波打ち際に上がろうとするところに、

直実が馬を強引に並べて、

むんずと組んでドウッと落ち、

取り押さえて、

武者の首を掻っ切ろうと、

かぶとを仰向けにして(顔を)見てみると、

年は、十六、十七くらいである人が、

薄化粧をして、

お歯黒をつけている。

自分の子の、小次郎の年齢ぐらいで、

顔立ちがとても美しかったので、

直実どこに刀を立てていいかもわからない。

 

直実は、「一体(あなたは)どういう人で

いらっしゃいますか。

名乗ってください、

お助けします。」

と申すと、

武者は「お前は誰だ。

と、お尋ねになった。

 

「大した者ではございませんが、

武蔵の国の住人で、熊谷次郎直実。」

と名乗り申し上げた。

 

武者は「それでは、お前に向かっては(私は)名乗らないよ。

お前にとっては、(私は)良い敵だ。

(私が)名乗らなくても、

(私の)首を取って人に聞いてみろ。

見知っているだろうよ。」

おっしゃった。


この場面での重要語句

  • いづくに→どこに
  • なんぢ→お前
  • のたまふ→おっしゃる

4.敦盛の最期(後半)

では、後半をみていきましょう。

 

状況とあらすじ

熊谷直実平敦盛という2人の登場人物が会話を交わしていたのが前半でしたね。

直実が敦盛の若さや美少年な点に驚いていました。

後半では、いよいよ「最期」を迎えます。

 

では前半と同様に、先にあらすじを確認しましょう。

堂々としている武者に感動した直実は、この武者を助けてあげようとした。

しかし、後ろからは(直実の)味方の源氏の兵士が迫ってきた。

「早く私の首を切れ」という武者を、直実は泣く泣く手にかけた。

 これが後半のシーンです。

では本文を見ていきましょう。

 

歴史的仮名遣い

熊谷、

「あつぱれ、大将軍や、

この人、一人討ちたてまつりとも、

負くべき戦に勝つべきやうにもなし。

また、討ちたてまつらずとも、

勝つべき戦に負くることも、

よもあらじ。

 

l小次郎が薄手負うたるをだに、

直実はここ苦しうこそ思ふに、

この殿の父、討たれぬと聞いて、

いかばかりか歎き給はんずらん。

あはれ、助けたてまつらばや。」

と思ひて、

後ろをきつと見ければ、

土肥・梶原、五十騎ばかりで続いたり。

 

熊谷、涙をおさへて申しけるは、

「助けまゐらせんとは存じ候へども、

味方の軍兵、雲霞うんかのごとく候ふ。

よも逃れさせ給は

 

人手にかけまゐらせんより同じくは、

直実が手にかけまゐらせて、

後の御孝養をこそ

つかまつり候はめ。」

と申すと、

「ただとくとく首を取れ。」

とぞ、のたまひける。

 

熊谷あまりにいとほしくて、

いづくに刀を立つべしともおぼえず、

目もくれ、

心も消え果てて、

前後不覚におぼえけれども、

さてしもあるべき事ならねば、

泣く泣く首をぞかいてんげる。

 

現代仮名遣い

熊谷、

あっぱれ、大将軍や、

この人、一人討ちたてまつりとも、

負くべき戦に勝つべきようにもなし。

また、討ちたてまつらずとも、

勝つべき戦に負くることも、

よもあらじ。

 

小次郎が薄手負うたるをだに、

直実はここ苦しゅうこそ思ふに、

この殿の父、討たれぬと聞いて、

いかばかりか歎き給はんずらん。

あはれ、助けたてまつらばや。」

と思ひて、

後ろをきっと見ければ、

土肥・梶原、五十騎ばかりで続いたり。

 

熊谷、涙をおさえて申しけるは、

「助けまいらせんとは存じ候えども、

味方の軍兵、雲霞のごとく候う。

よも逃れさせ給はじ。

 

人手にかけまいらせんより同じくは、

直実が手にかけまいらせて、

後の御孝養をこそ

つかまつり候わめ。」

と申すと、

「ただとくとく首を取れ。」

とぞ、のたまいける。

 

熊谷あまりにいとおしくて、

いずくに刀を立つべしともおぼえず、

目もくれ、

心も消え果てて、

前後不覚におぼえけれども、

さてしもあるべき事ならねば、

泣く泣く首をぞかいてんげる。

 

現代語訳

熊谷、

「あっぱれ、立派な将軍だ。

この人を、討ち申したとしても、

絶対負ける戦に勝てるわけでもないし、

また、討ち申さなかった[ここで殺さなかった]として、

絶対勝てる戦に負けることも、

まさかあるはずがない。

 

(息子の)小次郎が軽いケガを負った時でさえ、

直実(私)はつらく思っているのに、

武者の父は、(子供が)討たれたと聞いたら、

どれほど歎きなさるだろう。

ああ、助けて差し上げたい。」

と思って、

後ろをサッと見ると、

土肥と梶原が、五十騎程で続いてきている。

 

熊谷直実は、涙をおさえて、申した。

「お助け申し上げようとは思っていますが、

味方の兵隊が、雲・かすみのようにいます。

まさかもう、お逃げになれないでしょう。

 

(他の)人の手にかけさせるより、同じことなら、

直実(私)の手におかけして、

死後のご供養をさせていただきます。」

と申すと、

武者は「ただ、早く早く首を取れ。」

と、おっしゃった。

 

熊谷はあまりにかわいそうで、

どこに刀を刺したらよいか分からず、

目の前が真っ暗になり、

心も失われて、

前後も分からなく思ったけれど、

そうしているわけにもいかないので、

泣く泣く武者の首をかき切ってしまった。


この場面での重要語句

  • よもあらじ→まさかないだろう

その後の話

直実が武者を手にかけて殺してしまった後、

どのようになっていったのでしょうか。

簡単に確認していきましょう!

熊谷は、この武者が笛を持っていることに気が付いた。

戦いの場でも風流の心を忘れない姿に、感動した。

後でこの武者は、平経盛(平清盛の弟)の息子で、平敦盛だと分かった。

直実は出家の気持ちが強くなった。

 平敦盛が名乗らなかった理由はこれですね。

有名な平経盛の息子だったからです。

 

直実はその一件を受けて、

坊主となり、出家したいという思いが強まりました。

5.係り結び(復習)

徒然草を勉強した際に紹介した「係り結び」をもう一度復習しましょう。

『平家物語』の中で出てくるものを例に確認しましょう!

係り結びって?

係り結びとは、文の途中の「係助詞」に合わせて、文の終わりの単語が、特別な形になることです。

これによって、文の意味が強調されたり、疑問の意味を持たせたりすることができます。

 

具体的な「係助詞」と「文末の単語の形」を見ていきましょう。

係助詞

なむ こそ
文末の単語の形  連体形 連体形 連体形 連体形 已然形

難しく感じるかもしれませんが、簡単に言うと、

「ぞ・なむ・や・か・こそ」が出てくると文末の単語の形が変わるということです。

係り結びの例(平家物語の例)

具体的に係り結びになっている文章表現の例を見ていきましょう。

 

例①

  • あれは、大将軍とこそ見まゐらせ候へ。

(海に逃げれる敦盛の背中に呼びかけた際、直実から敦盛への言葉。)

 

係助詞「こそ」に合わせて、文末の形が変化しているのが分かります。

ここでは、「候ふ」という終止形ではなく、「候へ」という已然形になっています。

例②

  • …見知らうずるぞ。」と、のたまひける。

(「名乗れ」と言った直実に対して、敦盛が「私の首を取って人に見せればきっと見知っているだろう」と言ったシーン。)

 

係助詞「ぞ」に合わせて、文末の形が変化しているのが分かります。

ここでは、「けり」という終止形ではなく、「ける」という連体形になっています。

 

 

これらが係り結びです!

「ぞ・なむ・や・か・こそ」があるときは、文末に注意して読みましょう!

 

『平家物語』は理解できましたか?

主語が省略されている部分が多いのが難しい点です。

作品の特徴や重要古文単語などとともに、しっかりと覚えましょう!

最後までお読みいただきありがとうございました。

他にも様々なお役立ち情報をご紹介しているので、ぜひご参考にしてください。

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引き続き、『平家物語』を解説します。

 

 

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