大問5

問題文

Ｋさんは，電流が磁界から受ける力について調べるために，次のような実験を行った。これらの実験とその結果について，あとの各問いに答えなさい。ただし，電子てんびんの測定の機能は磁界の影響を受けないものとする。

〔実験1〕
図 1 のように，直流電源，スイッチ，抵抗器，電流計，コイルをつなぎ，コイルを電子てんびんの上にのせ，コイルの真上にＮ極を下にした磁石を固定した。回路に流れる電流の大きさを変えながら，電子てんびんの示す値を調べた。表は，その結果をまとめたものである。

表

〔実験2〕
図 2 のように，プラスチック製のコップの底にはりつけたコイルを交流電源につないで交流を流し，磁石を近づけたところ，コイルを流れる電流が磁石のつくる磁界から力を受けてコイルが振動し，その振動がコップに伝わって音が出た。このとき，交流電源にオシロスコープをつないで表示した交流の波形と，コップから出た音を図 2 のようにマイクロホンで拾ってオシロスコープで表示した音の波形はそれぞれ図 3 と図 4 のようになった。

(ア)

次のは，Ｋさんが〔実験1〕の結果から考えられることをまとめたものである。文中の（　Ｘ　），（　Ｙ　）にあてはまるものの組み合わせとして最も適するものをあとの 1 ～ 4 の中から一つ選び，その番号を答えなさい。

表から，コイルは図 1 の（　Ｘ　）の向きの力を受けていると考えられる。この力は，コイルを流れる電流が図 1 のコイルの内側に（　Ｙ　）の向きの磁界をつくり，コイルが電磁石のはたらきをすることでコイルと磁石が互いにおよぼし合う力だと考えられる。

1. Ｘ：ア Ｙ：ア
2. Ｘ：ア Ｙ：イ
3. Ｘ：イ Ｙ：ア
4. Ｘ：イ Ｙ：イ

(イ)

〔実験1〕において，回路に流れる電流を逆向きにして，電流の大きさを 100mA にしたときの電子てんびんの示す値として最も適するものを次の中から一つ選び，その番号を答えなさい。

1. 0.00g
2. 9.12g
3. 9.96g
4. 10.80g
5. 11.64g
6. 12.48g

(ウ)

〔実験2〕について，Ｋさんは交流と直流のちがいを確認するために，〔実験3〕を行った。〔実験3〕の②における発光ダイオードの点灯のようすを表す図として最も適するものをあとの 1 ～ 4 の中から一つ選び，その番号を答えなさい。なお，図 7 および 1 ～ 4 では，発光ダイオードの点灯を黒い点や線で表している。

〔実験3〕
① 図 5 の回路図のように交流電源と抵抗器につないだ 2 個の発光ダイオードを，図 6 のように棒に固定した。棒を持ってすばやく横に動かすと，図 7 のように 2 個の発光ダイオードが交互に点灯するようすがみられた。
② 次に，図 8 の回路図のように 2 個の発光ダイオードを直流電源と抵抗器につなぎ，①と同様に棒を動かしたときの発光ダイオードの点灯のようすを調べた。

(エ)

〔実験2〕で音が出たとき，コイルと磁石の距離およびコップとマイクロホンの距離を保ったままにして，音の波形を図 9 のようにするためには，次の中のａ～ｄのうちどの操作を行えばよいか。その組み合わせとして最も適するものをあとの 1 ～ 4 の中から一つ選び，その番号を答えなさい。ただし，図 9 の 1 目盛りの値は図 4 と同じであるものとする。また，交流電源の周波数を変えても，コップから出る音の大きさは変わらないものとする。

ａ　交流電源の電圧をより大きくする。　　　
ｂ　交流電源の電圧をより小さくする。
ｃ　交流電源の周波数をより大きくする。 　
ｄ　交流電源の周波数をより小さくする。

1. ａとｃ
2. ａとｄ
3. ｂとｃ
4. ｂとｄ

解答・解説

(ア)　3

電子てんびんの示す値が大きくなっているということは下向きの力を受けているということです。
そのためにはN極同士で反発させる必要があるので、上向きの磁界が作られます。

(イ)　2

電流の流れる向きが逆になると受ける力も逆になります。
表より、100ｍAでは1.68ｇ変わるので、$10.80-1.68=9.12g$となります。

(ウ)　4

直流は交流と違い、電気が流れるのは1方向だけなので、4のようになります。

(エ)　2

電圧を大きくすることで、振幅が大きくなります。また、周波数を小さくすると波の数は減ります。

大問6

問題文

Ｋさんは，水溶液に流れる電流について調べるために〔実験1〕を行った。その結果から，「ある体積の水溶液を流れる電流の大きさは，その水溶液中のイオンの数が多いほど大きくなる」と考え，このことを利用して酸とアルカリを混ぜたときの水溶液の性質の変化について調べるために，〔実験2〕を行った。これらの実験とその結果について，あとの各問いに答えなさい。

〔実験1〕
　図 1 のような装置を用いて，塩酸，水酸化ナトリウム水溶液，塩化ナトリウム水溶液，砂糖水，蒸留水それぞれ 20cm³に一定の大きさの電圧をかけたときに流れる電流の大きさを測定した。蒸留水以外の水溶液における測定は，水溶液の質量パーセント濃度を 1.0％，2.0％，4.0％，6.0％，8.0％，10.0％と変えてそれぞれ行った。グラフ 1 は，その結果をまとめたものである。

〔実験2〕
　図 2 のように，うすい水酸化バリウム水溶液 20cm³を入れたビーカーに，うすい硫酸を少しずつガラス棒でよくかき混ぜながら加えた。このとき，うすい硫酸を一定量加えるごとに，〔実験 1 〕と同じ装置を用いてビーカー内の水溶液に〔実験1〕と同じ大きさの電圧をかけ，流れる電流の大きさを測定した。
　次に，うすい水酸化ナトリウム水溶液 20cm³にうすい塩酸を少しずつ加えていく場合についても，同様にビーカー内の水溶液に流れる電流の大きさを測定した。グラフ 2 とグラフ 3は，それらの結果をまとめたものである。

(ア)

〔実験1〕と同様の実験を行ったときに，砂糖水と同じ結果になるものとして最も適するものを次の中から一つ選び，その番号を答えなさい。

1. エタノール水溶液
2. 塩化銅水溶液
3. 硫酸
4. 硝酸カリウム水溶液

(イ)

〔実験1〕において塩酸に電流が流れているとき，電極付近から気体が発生した。陽極と陰極から発生した気体の組み合わせとして最も適するものを次の中から一つ選び，その番号を答えなさい。

1. 陽極：水素 陰極：酸素
2. 陽極：水素 陰極：塩素
3. 陽極：酸素 陰極：水素
4. 陽極：酸素 陰極：塩素
5. 陽極：塩素 陰極：水素
6. 陽極：塩素 陰極：酸素

(ウ)

Ｋさんは，グラフ 2 の点Ａ～Ｅにおけるビーカー内の水溶液中のようすを粒子のモデルで表した。図 3 は点Ａにおけるモデルであり，次の 1 ～ 4 はそれぞれ点Ｂ～Ｅのいずれかにおけるモデルである。なお，粒子のモデルは化学式で表してあり，は中和で生じた水分子を表している。点Ｄにおけるモデルとして最も適するものを 1 ～ 4 の中から一つ選び，その番号を答えなさい。

(エ)

次のは，〔実験1〕と〔実験2〕に関するＫさんと先生の会話である。文中の（ あ ），（ い ）にあてはまるものとして最も適するものを，また，文中の下線部（う）の質量パーセント濃度として最も適するものを，それぞれの選択肢の中から一つずつ選び，その番号を答えなさい。

Ｋさん「グラフ 2 を読みとると，点Ｃでは水溶液中に（ あ ）と考えられます。」
先 生 「そうですね。では次に，グラフ 2 とグラフ 3 を比較して，気づいたことについて説明してみましょう。」
Ｋさん 「はい。グラフ 3 では，グラフ 2 と異なり，点Ｆでの電流の大きさが 0 ではありません。この理由は，点Ｆでは，（ い ）からだと思います。」
先 生 「そのとおりですね。では最後に，〔実験1〕の結果を活用して，(う)グラフ 3 の点Ｆにおけるビーカー内にある，中和で生じた塩の水溶液の質量パーセント濃度を求めてみましょう。」

（あ）の選択肢

1. バリウムイオンと硫酸イオンが多くあった　　　
2. 白い沈殿がほぼなかった
3. 水酸化物イオンと水素イオンが多くあった　　　
4. イオンがほぼなかった

（い）の選択肢　

1. 水素イオンが多くあった　　　
2. 中和で生じた塩がほぼすべて電離していた
3. 水酸化物イオンが多くあった
4. 中和で生じた塩がほぼすべて沈殿していた

（う）の選択肢　

1. 0.4％　　　　
2. 1.0％　　　　
3. 4.0％　　　　
4. 9.1％　　　　
5. 50％

解答・解説

(ア)　1

電離しないものを選べばよいです。

(イ)　5

陽極は塩化物イオンが集まって電子を放出します。
$2Cl^-→Cl_2+2e^-$
陰極は水素イオンが電子を受け取って、水素になります。
$2H^+ + 2e^-→H_2$

(ウ)　3

点Dは中和点Cの後で、点Eの前なので、硫酸が少し電離している3が正しい。

(エ)　あ：4　い：2　う：3

実験1より点Fで50ｍAの電流が流れるので、塩化ナトリウムの質量パーセント濃度は4.0％です。

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大問7　

問題文

Ｋさんは，ペットショップで見かけた毛の色や毛の長さが異なるモルモットに興味をもち，モルモットの毛の色や毛の長さの遺伝について調べたことを次のにまとめた。これらについて，あとの各問いに答えなさい。

〔調べたこと〕
① モルモットの毛の色には黒色や茶色があり，これらの形質は毛の色を黒色にする遺伝子Ａと茶色にする遺伝子ａによって現れる。

② モルモットの毛の長さには短い毛と長い毛があり，これらの形質は毛を短くする遺伝子Ｂと長くする遺伝子ｂによって現れる。

③ 黒色の毛の純系と茶色の毛の純系を交配すると，その子はすべて黒色の毛になる。

④ 短い毛の純系と長い毛の純系を交配すると，その子はすべて短い毛になる。

⑤ ③でできた子と同じ遺伝子の組み合わせをもつものどうしを交配してできた個体を孫とすると，孫には黒色の毛の個体と茶色の毛の個体が一定の比で現れる。

⑥ ④でできた子と同じ遺伝子の組み合わせをもつものどうしを交配してできた個体を孫とすると，孫には短い毛の個体と長い毛の個体が一定の比で現れる。

⑦ 図は，モルモットの体細胞の染色体を模式的に示したものである。図のように，毛の色を決める遺伝子と毛の長さを決める遺伝子は別の染色体にある。

⑧ モルモットの毛の色と毛の長さは，互いに影響をおよぼし合うことなく遺伝し，それぞれメンデルが発見した遺伝の規則性にしたがう。

(ア)

⑦について，図の体細胞をもつ個体がつくる生殖細胞の染色体を模式的に示したものとして最も適するものを次の中から一つ選び，その番号を答えなさい。

(イ)

③でできる子や⑤でできる孫がもつ，毛の色を決める遺伝子についての説明として最も適するものを次の中から一つ選び，その番号を答えなさい。

1. ③でできる子がもつ遺伝子の組み合わせは，2 通りである。
2. ③でできる子は，茶色の毛をもつ親から遺伝子を受けついでいない。
3. ⑤でできる孫のうち約半数は，③でできる子と同じ遺伝子の組み合わせをもつ。
4. ⑤でできる孫は，茶色の毛の個体数が黒色の毛の個体数の約 3 倍となる。

(ウ)

毛の色が黒色のモルモットＸと毛の色が茶色のモルモットＹを交配して複数の子ができたとき，子の毛の色から親のもつ遺伝子を知ることができる。その説明として最も適するものを次の中から一つ選び，その番号を答えなさい。

1. 毛の色が黒色の子と茶色の子ができたならば，Ｘは遺伝子の組み合わせＡａをもつといえる。
2. 毛の色が黒色の子と茶色の子ができたならば，Ｘは遺伝子の組み合わせＡＡをもつといえる。
3. 毛の色が黒色の子のみができたならば，Ｘは遺伝子の組み合わせＡａをもつといえる。
4. 毛の色が茶色の子のみができたならば，Ｘは遺伝子の組み合わせＡＡをもつといえる。

(エ)

次のは，Ｋさんがモルモットの毛の色と毛の長さの 2 つの形質の遺伝について考えたことをまとめたものである。文中の（ あ ），（ い ）にあてはまるものとして最も適するものをそれぞれの選択肢の中から一つずつ選び，その番号を答えなさい。

　実際のモルモットは，「毛の色が黒色で毛が短い」個体や，「毛の色が茶色で毛が長い」個体など，2つの形質が同時に現れる。これらの形質が子や孫にどのように伝わるかを考える。
〔調べたこと〕の⑦から，毛の色が黒色で毛が短い純系のモルモットの遺伝子の組み合わせをＡＡＢＢと表し，毛の色が茶色で毛が長い純系のモルモットの遺伝子の組み合わせをａａｂｂと表すことにすると，〔調べたこと〕の⑧から，これらを交配してできる子は，すべて（ あ ）となる。
　子と同じ遺伝子の組み合わせをもつものどうしを交配してできる孫の遺伝子の組み合わせを調べるためには，次のような表をつくるとよい。子がつくる精子や卵の遺伝子の組み合わせを表に書き入れると，受精卵の遺伝子の組み合わせが決まる。例として，精子の遺伝子の組み合わせがａｂで，卵の遺伝子の組み合わせがａＢのとき，受精卵の遺伝子の組み合わせはａａＢｂとなる。
　表を完成させると，孫に現れる形質の個体数の比を求めることができる。例えば，毛の色が黒色で毛が短い個体数と，毛の色が茶色で毛が長い個体数の比は，（ い ）と求めることができる。

（あ）の選択肢　

1. 遺伝子の組み合わせがＡＡｂｂであり，毛の色が黒色で毛が長い個体
2. 遺伝子の組み合わせがＡａＢｂであり，毛の色が黒色で毛が短い個体
3. 遺伝子の組み合わせがＡａＢｂであり，毛の色が茶色で毛が長い個体
4. 遺伝子の組み合わせがａａＢＢであり，毛の色が茶色で毛が短い個体

（い）の選択肢　

1. 1：1　　　　　　
2. 3：1　　　　　　
3. 6：1　　　　　　
4. 9：1

解答・解説

大問8

問題文

図 1 は，ある日の午前 3 時における低気圧と前線の位置を示したものであり，この低気圧は日本付近に近づいている。図 2 は，この日と翌日の 2 日間の横浜における気温と湿度と気圧の変化をまとめたものであり，表は，この 2 日間の横浜，大阪，熊本の風向をまとめたものである。これらについて，あとの各問いに答えなさい。

(ア)

図 1 の前線Ａについての説明として最も適するものを次の中から一つ選び，その番号を答えなさい。

1. 前線Ａは温暖前線であり，この前線付近では広い範囲に雲ができることが多い。
2. 前線Ａは温暖前線であり，この前線付近では上昇気流が生じて積乱雲ができることが多い。
3. 前線Ａは寒冷前線であり，この前線付近では広い範囲に雲ができることが多い。
4. 前線Ａは寒冷前線であり，この前線付近では上昇気流が生じて積乱雲ができることが多い。

(イ)

図 2 に示したア～ウの時刻（ア：2 日目の 2 時，イ：2 日目の 16 時，ウ：2 日目の 24 時）を，空気1m3 あたりの水蒸気量が多い方から順に並べたものとして最も適するものを次の中から一つ選び，その番号を答えなさい。

1. ア，イ，ウ
2. ア，ウ，イ
3. イ，ア，ウ
4. イ，ウ，ア
5. ウ，ア，イ
6. ウ，イ，ア

(ウ)

横浜で前線の通過にともなう雨が降っていたと考えられる時間帯として最も適するものを次の中から一つ選び，その番号を答えなさい。

1. 1 日目の 16 時ごろ
2. 1 日目の 12 時ごろと，2 日目の 4 時ごろ
3. 1 日目の 12 時ごろと，2 日目の 10 時ごろ
4. 2 日目の 4 時ごろと，2 日目の 10 時ごろ
5. 2 日目の 4 時ごろと，2 日目の 20 時ごろ
6. 2 日目の 10 時ごろと，2 日目の 20 時ごろ

(エ)

次のは，図 1 の低気圧と前線の移動に関するＫさんと先生の会話である。文中の（　　　）に最も適するものをあとの 1 ～ 4 の中から一つ選び，その番号を答えなさい。

Ｋさん「図 1 の低気圧はその後日本付近を通過したと思いますが，前線の位置はどのように変わったのでしょうか。」
先 生 「この低気圧は，2 日目の 3 時には北海道の東の海上にあったことがわかっています。いま，私が前線Ｂの位置の候補として 1 ～ 4 の図を用意しました。表にある横浜，大阪，熊本の風向の変化から考えて，2 日目の 3 時における前線Ｂの位置を示す図を，1 ～ 4 の中から選んでください。」
Ｋさん「はい。前線Ｂの位置を示す図は（　　　）だと思います。」
先 生 「そのとおりですね。」

解答・解説

(ア)　1

停滞前線は前線Aが温暖前線、前線Bが寒冷前線です。

(イ)　1

飽和水蒸気量は湿度が高いほど多いので、アが1番です。
次にイとウが同じ湿度ですが、気温が高い方が飽和水蒸気量は多いので、イが2番目です。

(ウ)　3

天気は風向きが変わるタイミングで変わることが多いです。
また、湿度が100％に近くなる時に雨が降ったと考えられます。

(エ)　2

2時の時の風向きを考えると熊本だけ北寄りの風が吹いているので、熊本だけ寒冷前線を通過していないことが分かります。

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