不登校から高校へ進学するときの心配事や親御さんができることは?

お子さんが学校へ行きたくないと言ったとき、お子さんの心の不安や葛藤、そして親御さんのご心労は計り知れないものと思います。朝から「学校へ行く、行かない」と揉めたり、学校へ欠席連絡をしたりするのも苦しいお気持ちになることと思います。これが2,3日ならともかく、何日も続くとなると学校との連絡だけでも気持ちが参ってしまうこともあるのではないでしょうか。もし、欠席が長く続くようであれば、「学校へ行けるときに連絡を入れる」などと先生に相談をし、親御さんの心の負担を減らすことも大切だと思います。

 

不登校の原因は様々で、ここで一概にまとめてお話することができませんし、悩んでいる親御さんに対して失礼な言い方になるかもしれませんが、「学校へ行きたくない」「学校へ行かない」という時期があっても良いのでは…と思う気持ちが年を重ねるごとに膨らんでいます。

昔のように型にはめるような教育から、個々の意思が尊重され、インターネットやITC教育の普及もあり、今は学校へ行かなくとも教育が受けられる機会が格段に増えています。また、学校で教室に入れなくとも心の教室の利用(スクールカウンセラーとの相談や自主学習)ができること、フリースクールや通信教育の活用といった幅もどんどん広がっています。フリースクールや通信教育では一定の要件を満たせば、学校の出席日数になる所もあるそうです(中学校との確認が必要です)。

 

高校進学に関して心配になるのは、大きく成績と出席日数の二点だと思います。

一つ目の成績については、テストを受けることができるか、課題など提出物を出すことができているか等によって多少変わってくると思いますが、あまり好成績は望めません。国社数理英の5教科はテストや提出部で多少は考慮される場合があると思いますが、音体美技家の実技教科は欠席が増えると厳しいと感じます。今はタブレットが配付されていますので、どこまで活用が可能なのかを学校側と相談してみるとよいと思います。

二つ目の出席日数についてですが、日数の一定基準を満たしていない場合には、進級認定や卒業認定など学校長との面談や会議がありますが、卒業にあたり進学や就職など今後の意思があればある程度は考慮されることが多いと感じます。

そして、高校進学に関しては、成績や出席日数なども考慮される進学校や私立学校などへの進学は現状としてやはり難しいものがあります(高校の難易度や倍率によって違いはあります)。以前は不登校生徒の進学先として、夜間定時制高校が多くあげられていました。しかし、今は昼間の定時制もあり、地方での全寮制のもの、地域の特色(農業,商業,酪農,漁業,工業など)を生かしたカリキュラムを組んでいるものなど、定時制高校も多様化しています。また、広域性通信教育の高校は数も種類も非常に多く、成績や出席日数の受け入れ幅は広がっていて今では大人気です。Webで授業が受けられたり、美容師、音楽、声優、アニメ、eスポーツなど自分の興味があること・やってみたいことを専門的に学ぶことができたりします。

今は職業も働き方も多種多様です。好きなこと、興味があることをいくらでも調べて追及できる時代です。職業についても調べて深く学んでいけます。YouTubeの配信で、eスポーツで、PCのプログラミングやWebデザイナー、動画編集など、スキルがあれば在宅で仕事をし、生計をたてることも可能な世の中になっています。この多様性は、選択肢が広がり羨ましいことだと思います。そして、何よりデジタルネイティブ世代の子どもたちは大人よりも詳しく、スキル取得にも長けていると感じます。子どもたちの可能性は無限大です。

 

「学校に行くことができない」ことに焦点を当ててしまうこともあるでしょうが、休んでいるからこそできることも今の時代はたくさんあるのではないかと思います。

親御さんがしてあげてほしいことは、お子さんの自己肯定感を下げない工夫を一緒に行うことなのではないでしょうか。学校を休む期間が長くなると、お子さんは学校に行けない自分を責めがちで、自己肯定感が下がってしまいます。だからこそ、「今学校に行けなくともそれでよい」、「まずは生きていること、健康でいることがよい」、「苦しい気持ちを一緒に分かち合う」、「楽しい会話をする」、「一緒に出掛ける」など、何気ない話でも行動でも、食事でも、“楽しく過ごす”ことが、お子さんの心を支え、心の回復につながっていくのではないでしょうか。自己肯定感を上げることが本当は理想なのでしょうが、上げるって中々難しいです。お子さんの自己肯定感を支える、下げないだけでも、今後の新たな課題に対して前向きな気持ちに変化させていくことができるのではないかと考えます。

そして、どうか親御さんご自身、ご無理をなさらず、心の健康に気を配っていただきたいと思います。親御さん自身が苦しみ、自己否定がさらに大きくなる場合もあるからです。今までもずっと頑張り続け、誰よりもお子さんを支え、たくさんの愛情を注がれてきたご自身を褒めて大切にしてほしいと切に願っております。そのために、学校や公的機関、通信教育機関、家庭教師などを頼り、ご利用していただけたらと思います。