【国語】伊曽保物語

前回は竹取物語の現代語訳と書き下し文の解説をしていきました。

今回は伊曽保物語を分かりやすく解説していきます。授業や定期テストの対策にご活用ください。

1.伊曽保物語とは

さて、早速ですが今回の題材の伊曽保物語とは何かを見ていきましょう。「イソップ物語」と聞くと聞き覚えのある方はいるかもしれませんね。

簡単に言うと伊曽保物語はイソップ物語の日本語版です。
イソップ物語自体は古代ギリシャの寓話で、話の最後に教訓があることが特徴です。
これが時を経て戦国時代(古代ギリシャは日本だと平安時代です)フランシスコ・ザビエルのような宣教師によってつたえられたと言われています。

ジャンルは「仮名草子」に分類され、成立したのは「江戸初期」だと言われています。
今回は2つの場面「犬と肉のこと」と「鳩と蟻のこと」を取り扱っていきます。

2.犬と肉のこと

歴史的仮名遣い

ある犬、肉(ししむら)をくはへて
川を渡る。
真ん中ほどにて、
その影、水に映りて
大きに見えければ、

「我がくはふるところの
肉より大きなる。」と心得て、
これを捨てて、
かれを取らむとす。
かるがゆゑに、
二つながらこれを失ふ。

そのごとく、重欲心(ぢゅうよくしん)の輩(ともがら)は、
他の財(たから)をうらやみ、
事に触れてむさぼるほどに、
たちまち天罰を被(こうむ)る。
我が持つところの財をも
失ふことありけり。

現代仮名遣い

ある犬、肉をくわえ
川を渡る。
真ん中ほどにて、
その影、水に映りて
大きに見えければ、

「我がくわうるところの
肉より大きなる。」と心得て、
これを捨てて、
かれを取らとす。
かるがゆに、
二つながらこれを失

そのごとく、重欲心の輩は、
他の財をうらやみ、
事に触れてむさぼるほどに、
たちまち天罰を被る。
我が持つところの財をも
ことありけり。

現代語訳

ある犬が、肉をくわえて川を渡る。
(川の)真ん中あたりで、
自分の影が水に映って
大きく見えたので、

「おれのくわえている
肉より大きい。」と思い込んで、
これを捨てて、あっちを取ろうとする。
それが理由で、
二つともこれを失ってしまう。

このように、欲深い人たちは、
他人の財産をうらやんで、
何かにつけてほしがるので、
すぐに天罰を受ける。
自分が持っている財産も
失うことがあるのだ。


この場面の重要語句

  • ゆゑ→理由

この場面の教訓

~欲張って人のものを欲しがると、自分の財産も失ってしまう。~

3.鳩と蟻のこと

歴史的仮名遣い

ある川のほとりに、
蟻あそぶことありけり。
にはかに水かさ増さりきて、
かの蟻を誘ひ流る。
浮きぬ沈みぬするところに、

鳩こずゑよりこれを見て、
「あはれなるありさまかな。」と、
こずゑをちと食ひ切って、
川の中に落としければ、
蟻これに乗って渚に上がりぬ。

かかりけるところに、ある人、
竿の先に鳥もちを付けて、
かの鳩をささむとす。
蟻、心に思ふやう、
「ただ今の恩を送らむものを。」
と思ひ、

かの人の足に、
しっかと食ひつきければ、
おびえあがって、
竿をかしこに投げ捨てけり。
そのものの色や知る。

しかるに、鳩これを悟りて、
いづくともなく飛び去りぬ。
そのごとく、
人の恩をうけたらむ者は、
「いかさまにも、その報ひをせばや」と
思ふ志を持つべし。

現代仮名遣い

ある川のほとりに、
蟻あそぶことありけり。
かに水かさ増さりきて、
かの蟻を誘ひ流る。
浮きぬ沈みぬするところに、

鳩こずよりこれを見て、
「あれなるありさまかな。」と、
こずをちと食切って、
川の中に落としければ、
蟻これに乗って渚に上がりぬ。

かかりけるところに、ある人、
竿の先に鳥もちを付けて、
かの鳩をささとす。
蟻、心に思うよう
「ただ今の恩を送らものを。」
と思

かの人の足に、
しっかと食つきければ、
おびえあがって、
竿をかしこに投げ捨てけり。
そのものの色や知る。

しかるに、鳩これを悟りて、
くともなく飛び去りぬ。
そのごとく、
人の恩をうけたら者は、
「いかさまにも、その報をせばや」と
志を持つべし。

現代語訳

ある川のそばで、
アリが遊んでいた。
急に(川の)水が増えてきて、
このアリを流してしまう。
アリが浮いたり沈んだりしているのを、
ハトが枝の先からこれを見て、
気の毒な有様だなぁ・・・」と、
枝の先をちょっとかじって、
川の中に落とすと、
アリはこれに乗って波打ち際に上がった。

このような時に、ある人が、
竿の先に”鳥もち”をつけて、
このハトを捕まえようとする。
アリが、心に思うことは、
「たった今の恩返しをしたいなぁ」
と思って、

アリがこの人の足に、
しっかりとかみついたならば、
人はびっくりして怖がって、
竿をあっちの方に投げ捨ててしまった。
この人には何が起こったか分かっただろうか。いや、分からないだろう。

 さて、ハトはこれを理解して、
どこへともなく飛び去っていった。
そのように、
人から恩を受けた人は、
どんな形でも、その恩返しをしたい」と
思う気持ちを持つべきである。


この場面での重要語句

  • あはれなり→気の毒だ
  • いかさま→どんな形

この場面での教訓

~人から恩を受けたら、その恩にどんな形でも恩返しをしようという気持ちを持つべきだ。~

最後までお読みいただきありがとうございました。

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